日本社会薬学会SP賞について

 日本社会薬学会SP賞は、2000年10月に開催された第19年会「日本社会薬学会創立記念―21世紀を展く社会薬学」から設けられた賞です。SPとは学会名の英語表記の一部であります Social Pharmacy の頭文字に由来します。今回、SP賞が生まれた背景について、社会薬学研究会時代の活動も振り返りながら、少しご紹介したいと思います。
 日本社会薬学会の前身は社会薬学研究会ですが、それは1982年5月15日に東京・目黒のみやこ荘で設立総会が開催されました。設立総会では、シンポジウム「社会薬学の課題と方法・・・・社会薬学研究会の発足に寄せて」が開催され、5人のシンポジストがそれぞれ薬学の立場から、医学の立場から、医療社会学の立場から、法学の立場から、経済学の立場からとして講演をして、活発な討論が行われました。News Letter No.1によりますと、初代会長に就任されました辰野高司先生(故人)は、薬の社会的機能を追求する上で、「壁」と考えていたいくつかの課題を提示し、社会科学者とも共同して幅広い研究を発展させたいと述べたとあります。
 その後、18年間の活動を経て、1999年9月に名古屋で開催されました第18回全国総会(大会長 奥田 潤先生)で、日本社会薬学会へと名所等を変更しました。社会薬学研究会は、当時、薬学系の研究分野では唯一「薬害」に向き合う研究会として活動し、薬害の構造的な問題点を明らかにしてきました。これによって、社会薬学研究会の活動について幅広い支持が得られるようになってきたことが大きいと思います。さらに、年1回の総会では、薬に関する関心事だけではなく、薬学教育に関するほか、薬剤師の役割や地域の医療に対する先進的なテーマにも取り組んできました。
 このように、研究会から学会へ学術団体として発展を遂げつつあったのですが、薬学分野において社会科学的な視点の研究は、テーマの発掘だけでなく、研究方法そのものに不慣れなため、総会(当時、今の年会にあたる)の演題が余り集まらず、また、会誌への投稿も少なく、学術活動の推進が危惧されていたことから、会員の学術活動を支援する一つのきっかけを作りたいということで、SP賞が生まれました。
 SP 賞の選考にあたっては、年会の一般演題を対象としました。選考の対象となる演題は、当初は自主性を重んじて応募性にしていましたが、会員が応募に対して遠慮気味であったことから、すべての一般演題を対象とすることになりました。今でこそ、多くの学会で優秀発表に対して賞を設けるようになりましたが、SP賞はかなり早い時期に設けられた賞であったと思います。
 SP賞を設けるにあたって、一番の問題となったのは、誰を対象とするのかということでした。本来は、社会薬学の研究を「推進する」、「支援する」という配慮から若い会員ということが検討されていましたが、年齢として若いということについて議論が重ねられました。当時、薬系大学では社会薬学を研究室の名称に掲げているところは極めて少なく、大学院講座としては存在していなかったので、社会薬学分野を研究する大学院学生も少ない時代でした。一方で、薬系大学の教員の中には、薬学分野で研究経験を持った方が、社会薬学分野に移られて研究するケースが見受けられました。当時は後者のほうが圧倒的に多かった時代ですので、SP賞の選考対象は年齢で若いということだけではなく、これから社会薬学分野の研究を推進する方も含めて幅広く選考することになりました。 
 このような背景で始まったSP賞ですが、今までに受賞された方の発表につきましては、表に示しましたが、ご所属や年代も様々であり、幅広く選考されているなと実感します。毎回選考委員長の講評がありますが、選考された演題は研究として十分に企画され、その中に、社会薬学的な視点が明確にされていることが選考結果につながっているとの講評であります。すばらしい研究に対する評価として、SP賞は定着してきたように感じています。

 串田一樹(昭和薬科大学)

日本社会薬学会 NEWS LETTER No.103 (2000年8月)より

日本社会薬学会SP賞について

 本学会では、今年10月に開催される日本社会薬学会第19年会より「日本社会薬学会SP賞」を設けることになりました。この賞は、社会薬学の分野において、独創的な新しい知見または方向性をもつと認められる研究又は実践活動を行っている若い会員を表彰することにより、社会薬学の向上を図ることを目的としています。
 選考方法は、年会の一般演題発表者を対象に、本会役員の講演要旨による審査を行い、2件程度を選考し、年会総会時に表彰するものです。本賞に応募希望の方は、講演要旨発送の際に、別紙に”日本社会薬学会SP賞 応募希望“とご記入の上同封しお送りください。
 多くの会員の方が応募されるように希望しています。

SP賞受賞記録

掲載の表にお気づきの所がありましたらお知らせくださるようお願い致します。

 

年度 年会会場 受賞者名 所      属 演     題    名
1 2000 日本大学 斎藤百枝美 福島県立医大附属病院 義務教育における薬の基礎知識に関する講義の実践−段階別テキストの作成とその評価
2 2001 北陸大学 小島尚 神奈川県立衛生研究所 痩身サプリメントに含まれる医薬品について
3 2002 東京薬科大学 安田一郎 東京都立衛生研究所 インターネットに見られる未規制薬物と学校薬剤師の役割
4 2003 神戸薬科大学 櫻井秀彦他 北海道薬科大学 調剤薬局の費用構造に関する一考察
5 2004 北海道大学 濃沼政美他 日本大学薬学部 最近の臨床漢方論文の研究デザイン及び研究対象の解析
鈴木順子他 北里大学薬学部 医薬品流通規制緩和と薬剤師の役割の再考・再構築
山田哲也他 東京薬科大学薬学部 薬学部における漢方教育の現状と展望(第2報)
6 2005 共立薬科大学 中西丈浩 他 (株)スギ薬局 調剤併設型ドラッグストアにおける面分業応需の地域密着度調査
武藤靖子他 共立薬科大学付属薬局 疑義照会による医療費削減への貢献
鈴木 政雄他 東京理科大学薬学部 教科書に見るセルフメディケーション
城田由紀子 (株)エイトライフ・きよせ北口薬局 ファーマシューティカルケアの向上を目指したアセスメントファイルの試用、分析と課題
7 2006 徳島文理大学 畠中岳他 薬局すばる 自殺予防ネットワークにおいて薬局が果たせる役割(第二報)
荒井恵二他 (株)スギ薬局 薬事法改正OTC薬Bグループの危機 
山崎知重美他 上荒屋菜の花薬局 特別養護老人ホームへの薬物療法支援の取り組み 第二報
8 2007 東京理科大学 山下智子他 (株)ファーミック 保険薬局における副作用報告の現状と課題 
川村和美他 (株)スギ薬局 薬剤師志望の有無から観た新入社員の職業指向性
9 2008 昭和大学 戸塚美郷他 北里大学薬学部 誤飲時のfirst action plan  に添付文書情報は(過量投与)は役立つか
中村久美他 相澤病院薬剤管理情報センター 調剤薬局との連携・クリニカルパスを利用し、外来がん化学療法をフォローする
10 2009 北里大学 川合由起他  慶應義塾大学薬学部 国民生活センターに寄せられた薬局・薬剤師に対する苦情の分析 
高尾知里他 金沢大学医薬保健学域薬学系  インターネットを介した個人輸入による”ダイエット用薬”試買調査
11 2010 日本大学 岸本桂子他 慶應義塾大学薬学部  医薬品情報源として匿名性webサイトを利用する医療消費者の特性  
藤田健二他 (社)ソーシャルユニバーシティ 睡眠薬の処方実態と副作用調査報告(2000-2009)
12 2011 東京大学 松田ひとみ他 北里大学薬学部 家庭用品による誤飲事故の防止には何が必要か?—マウスウォッシュ製品のアルコール含有量の検証—
木村雄太他 北海道薬科大学 薬局薬剤師と患者を対象としたお薬手帳の認識と使用実態に関するアンケート調査
13 2012 鈴鹿医療科学大学 谷口美保子他 神戸薬科大学 薬学生の企画による小・中学生への体験型防煙授業とその効果
河内明夫他 九州保健福祉大学薬学部 地域住民を対象とした骨粗しょう症啓発教育のための「公民館出張講義」とその効果
14 2013 昭和薬科大学 櫻井秀彦 北海道薬科大学 患者経験の相違による服薬指導、薬剤師、薬局に対する評価モデルの検討
菊地真実他 早稲田大学大学院人間科学研究科、ふくろう薬局 在宅医療に関わる薬剤師の患者に対する直接接触行為への法的妥当性の認識と抵抗性について
15 2014 慶應義塾大学 丸岡弘治他 横浜あおばの里 介護老人保健施設における薬剤師の薬学的介入ポイントの分析
松本亜里沙他 昭和大学薬学部 セルフメディケーションに薬剤師が関わる有益性の探索ー市販の胃薬購入者を対象としてー
16 2015 熊本大学 山城朋子他 慶応義塾大学薬学部 一般用医薬品販売サイトにおける使用者の健康状態確認画面のユーザビリティの測定
城山今日子他 慶応義塾大学薬学部 中学生に対する「薬教育」の在り方と多職種からの視点 ー医薬品の適正使用教育と薬物乱用防止教育の関連性ー
岸本桂子他 北海道薬科大学 一般用医薬品テレビCMの物語構造と内包するメッセー ジに関する質的研究
17 2016 北海道薬科大学 近藤悠希他 熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)薬剤情報分析学分野 ”腎排泄型薬剤投与量チェックシステム”を用いた、薬局薬剤師による医薬品適正使用 推進の有用性評価
五十嵐香理奈他 (有)静岡健康企画ことぶき薬局 ポリファーマシーの実態調査と減薬への取り組み

 

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