昨年度末の役員選出に伴い、2014年4月より新体制がスタート致しました。幹事会を始めとして地方支部の役員一同、学会の活性化に向けて活動してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
日本社会薬学会は、社会薬学の市民権獲得に向けた多くの先輩方の熱意と献身的活動に支えられ、本年33年目を迎えました。
薬学教育の面では、社会薬学の領域は、2002年に薬学教育モデル・コアカリキュラムのC薬学専門教育のC18「薬学と社会」に明示され、6年制薬学教育にとって、欠かせない学問領域の1つに位置づけられました。さらに、2015年度の入学生から実施される改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムにおいては、10か条の「薬剤師に求められる基本的資質」が設定される中、「薬学と社会」は「入学後早期から卒業まで継続して習得していくべき内容」として大項目Bに単独で位置づけられることになりました。よりいっそう重要な学問領域として位置づけられることになります。
薬を社会とのつながりで考え、薬学が歴史的、倫理的、法的そして社会的な影響を受けながら発展していることを認識し、人間の生命の尊厳を重視し、国民の健康保持に貢献できる薬学の方向性を模索してきた当学会の考えが、薬学教育にも認知される時代になったことは間違いありません。
一方、6年制薬学教育の導入は、医療人としての薬剤師教育に軸足を移したことを意味しますが、現状は様々な問題が山積しており、まだまだ混沌とした状況は変わりません。このような混沌とした状況であるからこそ、薬学や薬剤師の根本的な存在意義について話し合える場を提供できる学会として機能していきたいと考えております。
地域や職種を越え、そして年代を越え、新たに求められる薬学や薬剤師の役割に対して、積極的に年会やフオーラムを企画・開催し情報を発信してまいりたいと存じます。新たな方向性を探ろうと結集する力は、薬学の歴史に新たな1ページを刻むものと確信しています。
薬学を取り巻く環境はいまだ大変厳しい状況にあるといわざるを得ません。医療制度改革、さらにチーム医療の推進が図られる中、薬や薬剤師を取り囲む社会環境とその変化を見極め、社会や市民に貢献できる学会としての使命を、模索してまいる所存です。
会員の皆様のご協力ご支援の程を、何卒よろしくお願い申し上げます。
日本社会薬学会会長
宮本 法子